微睡みの森に踊る 百の孤独と
月影に蝶は朽ちて 死の夢を見る
【七の罪科】
野ばらに抱かれて 眠る理由は――
水浴びて妃が聴いたのは 身籠り告げし 蛙の声
お望みの御子が、一年経たずに、お生まれになるでしょう
歓びて王が催したのは 姫の誕生 祝う宴
黄金の皿が 一枚足りずに 事件は起こってしまった……
【七の罪科】
恋も知らずに 死せる処女が
野ばらに抱かれて 眠る理由は――
国中に散らばる、神通力を持つ賢女達を全て、招いておきながら…
私だけ招かぬ傲慢なる王よ。祝いの宴席に呪いを添えてやろう!
姫が抱く運命。僅か余命十五年。
紡錘にさされて、床に倒れて、死ぬがいい!
「いいえー」
《十三人目の賢女》よ。不吉な言の葉、退けよう。
百年。死んだと見せて、寝台の上、唯、眠るだけ!
ならば、どちらの力が、上回っているか、嗚呼、流る時のみぞ識る……
朝と夜は繰り返す。
望もうとも、望まざろうとも。
光陰は矢の如く過ぎ去り、大樹にも幾つかの年輪を刻む。
齢十五の朝を迎えることとなった、そんな私が……。
【七の罪科】
野ばらに抱かれて 眠る理由は――
燭台の揺れる焔 仄昏い闇を照らす 石壁の部屋を廻り 古い塔へ上がる
狭い螺旋型の階段を上ると 部屋の中 独り 老婆が麻を紡いでいた
こんにちは、お婆さん。ここで何してるの?
糸を取っておりますのじゃ
じゃあ、それなぁに? 面白そうに、ぐるぐる跳ね回ってる物!?
僕の理想の花嫁は 何処に居るのだろう?
嗚呼 西も東も 北も南も 雨にも負けず 風にも負けず
捜したけれど 見つからない……と思ってた矢先に
素晴らしい 噂を聞いた――
~野ばらの生垣に 抱かれた白亜の城
空を望む薔薇の塔 眠る美しい姫君~
嗚呼 唯 野ばら姫の伝説を 聞いただけで 運命 感じた
彼女こそが きっと僕の《捜し求めていた女性》なのだろう
ならば どんな困難も乗り越えてみせよう!
迷いの森の 霧が晴れてゆく
僕を誘ってくれるのか? 愛しい姫のもとへ
棘の生垣が 口を開けてゆく
僕を導いてくれるのか? 愛しい彼女のもとへと――
燭台の揺れる焔、微睡んだ闇を照らす。
石壁の部屋を飛ばし、古い塔へ上がる。
狭い螺旋型の階段を上ると――
部屋の中、独り、乙女が横臥っていた……。
予定調和な王子の接吻で姫が目覚めると、
役割を終えた野ばらは、立ち所に立ち枯れて朽ち果て、
長過ぎる午睡を貪っていた城の愉快な面々も、
何事も無かったかのように、彼等の愉快な日常を再開した。
【七の罪科】
気高き王女を呪うなんて 傲慢なのはお前の方よ!
――そして彼女は、
生まれた姫を森に捨てることとなる……。
- 专辑:Märchen
- 歌手:Sound Horizon
- 歌曲:薔薇の塔で眠る姫君