三日月が眠るようなこんな夜は 泣き濡れた君の事を思い出す 朝焼けの街はまだ 眠たげで 凍てついた時はまだ 動かない 髪をたどる仕草は 君が嘘をつく 静かな合図 この部屋にはもう二度と 戻らないような 香りがした 朝にさらされて 夜にさらされて 斜めに刺す月明かり 風にさらされて 雨にさらされて 一人ここで錆びてゆく 時にさらわれて 過去にさらわれて 寄せて返す黒い波 一人さらわれて 二人さらわれて ここにあるのはぬけがら 三日月が刺さるようなこんな夜は ありふれたあの頃を思い出す 夕闇の街はもう