浅き処(ところ)に 浮世は流れて 我が心亦(また)一つ 浅き彫(ほり)を刻む 縦令(たとい)此の眼が 鈍く濁れども 空の蒼(あお) 木々の藍(あお) 映えて尚(なお)深く 生命芽吹きし春も 儚く暮れ往く秋も 息静まりし冬も 唯然(そ)う在る様に 時節は巡る 低き処(ところ)に 浮世は遷(うつ)りて 我が心亦(また)一つ 小さき皺(しわ)を刻む 縦令(たとい)此の身が 汚泥に塗れども 波の音 風の音は 澄みて尚(なお)清く 闇夜に映りし月も 儚く散り往く華も 深く眠りし森も 唯然(そ)う在る様に