こんな嵐の夜は 傷痕が疼く 右腕を引き千切る様な 在るはずの無い痛み 誰に話すこともなく 男はひとり苦惱している 殘った左腕で何を為すべきかを- 不吉な予兆は 日に日に影を色濃く落とす 確實に その時が近づいている あの日と同じ嵐の夜 男は人知れず旅立った 覺悟は決まっている まだ左腕がある- 男は扉を必死で押さえていた 扉の向こうは闇 邪悪な力が溢れ出ようとしている それを左腕で必死に抑えていた もうダメだ-右腕-右腕さえあれば- 男が諦めかけたその時 薄れゆく意識の中 温かい光を感じた 右手